9日目
最終日です。朝起きたら天気予報通り強風でした。
10時半にスチュアートが迎えに来ます。
私とK島さんは年のせいなのか毎日早く寝てしまう為か6時には目が覚めてしまいました。
昨日ハンティングから帰って来たHさんが弓で大きなエルクを仕留めてきました。
2年越しの夢がかなったようです。スチュアートもエルクの肉が食えると喜んでいました。その彼が夜中にエルクの角をパッキングするのに角の付け根の骨格に付着した肉を削っていたようでカタコト音がしていました。その音も私が時間を取り間違え早く起きてしまった要因です。
今日はエルク・ハンターのHさんも一緒でフライフィッシングです。
場所は時間に余裕をもってボーズマンから近くのデピユー・スプリングクリークです。
途中、フライショップに寄って現地に着きましたが強風は予想以上です。キャストしたフライが浮いてしまいそうな強風です。
現地に到着して少し待っていましたが、きっと早上がりだと決めつけた私はライズの無い川の真ん中へ入って対岸のバンクへドライ&ニンフのシステムを投げました。(ドライフライはグラスホッパーに見えるようにボデーを黄緑色のアントロンを巻いた物です。ニンフはタングステンビーズヘッドのフェザントテールです。
強風の中、風をもろともせず強引に投げつけたフライが対岸のほんのすこしだけ風裏に落ちて自分の想定どおりに流れて行きました。
いきなりドライフライが水中に消えて思わず反射的に私の右腕が動きました。
ロッドが曲がる。「OH!・・・・」思わず歓喜が響く予期せぬ出来事でした。
釣れた魚はレギュラーサイズのブラウントラウトでした。この日の状況を考え早々ガイドのスチュアートに記念写真を撮ってもらいました。
またもや誰もが予測できなかった奇跡が起こったのです。
それは3投目です。今度はニンフの方にカットスロートがヒットしたのです。
私は今日はもう終わっても良いと思いました。
昼過ぎまで皆で強風のなかドライ&ニンフで釣りましたがその後は誰にも奇跡は起こりませんでした。
小屋で薪ストーブを焚きながらサンドウィチを食べひととき温まりしました。
出て行くのが忍びがたかったのですが外へと出て行きました。
休憩を過ぎても強風は治まらず皆でライズ探しです。
午後2時を過ぎた頃から強風の中少しだけ#24のベイテスが流れ始めました。
K島さんが最初にライズを見つけ釣り始めました。
スチュアートが下流でライズを見つけ、K下さんが釣りを始めた。
私は対岸を凝視するがライズがみつからない少しずつ移動してK島さんの上流でライズを発見しました。
準備をしていたら、見当たらなかったHさんがウエットで大物を狙いのロッドをドライ用ロッドに替えて戻って来ました。
私が見つけたライズを先に見つけてウエットのシステムをドライに代えてきたのでした。
彼はこのライズを私に譲ってくれ下流へ行きました。
私はこの魚を狙おうと次のライズを待ち続けたがライズが無く諦めることになりました。
新しくライズを探そうと必死になっている私を見つけたスチュアートがライズの有る場所を教えてくれました。言われても何処だかわからずにいると一緒に少しずつ川の中まで誘導してくれました。
それは対岸の葦際に僅かに飛沫があがる程度の極小さなライズでした。
この小さいライズを探すことのできるスチュアートに私は感動しました。
ライズは見つかったが強風の中、葦際に流すのは至難の技です。何度か流したがなかなか難しく上手くいきません。
1.5有ったティペットを70cmにしてかなり投げやすくなりました。
私は少し上流の投げやすい所から葦際すれすれに流すことにしました。
何度か流すが上手く流れているのに食ってくれない。そばで見ていたスチュアートが「2cmのフィーディングレーン」だと言った。「ほんとかよ!」
下流に入っていたHさんが葦際で同様のライズを見つけブラウンを掛けました。
彼はポイントにかなり接近していました。
スチュアートがランディングをしようかと尋ねたら彼は手を振り拒否しました。
Hさんはハンドランディングしてリリースしました。
私が何度も流している内にスチュアートが上にも居ると言った。私も1m上流でライズしたのを確認できた。この場所のライズの方があきらかに投げやすかったので私はターゲットを変更しました。
変更してから2度目のキャストでフライを食ってくれた魚はブラウンでした。
釣れたのを見届けたスチュアートが下流に移動してK下さんにアドバイスをしています。
私は前から狙っていた難しいライズに再挑戦し始めた。
流れから幅20cm奥行き5cmの範囲にえぐれた葦際の下からライズしているのです。
強風の中フライを投げ込むのは難しく何度も何度もキャストしました。
夢中で釣りをしていたので判らないが20分以上が経過したと思います。
スチュアートが私のもとへ来て簡単なライズがすぐ下で何匹も始まっているのを教えてくれました。
少し後ずさりした下流だ。かなり良いリズムで数匹の魚がライズしている。
ターゲットをきめ2・3度キャスティングをするとすぐにヒットしました。
写真を撮り素早くリリースする。また戻ってライズを決めて投げる。次々とキャッチしてはリリースする。繰り返しました。
続けて4匹を釣った時点で写真に時間を掛けていたらライズが無くなりがっかりしたが仕方なくフィニッシュにしました。
同行者達もライズが無くなり川から上がって来ました。
皆で小屋で着替え記念写真を撮りました。
「あれ写真にHさんがいない。」私のカメラではデピューの管理人に撮ってもらわなかったようです。
今回の釣行でガイドのスチュアートには大変お世話になりました。
この次にモンタナに行く時はスチュアートに虫のサイズとカラーを必ず聞いてフライを巻いて行く事にします。さすがに#24はバラシが多かったです。
それでも基本はフライが合っていないと苦労します。