初心者の為のフライフィッシング講座NO4

初心者の為のフライフィシング講座NO4

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ドライ・フライフィッシング  

 混合ハッチでの釣り  
 混合ハッチの釣りではフライの選択によっては釣果に大きく差が生じます。多種の水生昆虫ハッチ時では最初の1匹を釣るまでは流下物(虫)を目視で判断するかインセクト・ネットを広げ採集して確認する事が必要です。たとえ流下物の確認が出来たとしても種類やその量、流れてくる場所等を考慮して多種の中からどの虫を食っているか判断するのは難しいことです。また、ライズの波紋や形(様子)もフライを選択する要素として重要です。さらにライズのリズム(間隔の空き具合)も考えなければなりません。  

 ライズの波紋による判断   
 
小さな物を食っているライズは小さく、大きな物を食っているライズは大きいのが基本ですが水面に張り付いて流れてくるスペントやスピナー、イマーシャーやフローティングニンフのライズは魚の大小に関わらず波紋は小さく目立たないのが普通です。うかつにも見逃してしまう事が良くあります。それと対照的に飛び立とうとしている虫のライズは大きめでハッキリとしたライズになります。 大きなさかなほどゆっくりと口を開けてスローモーションVTのように吸い込む様な食いかたをします。警戒心の強い魚や小魚はピシャッとした水しぶきが出るようなライズをします。ライズの形状を細かく分けると切りが無いほど多くて微妙なものです。それらは水棲昆虫の生態や食物の動きによりさまざまに変化するからです。

水棲昆虫の種類によるライズの違い
 カディス、ストーンフライ、メイフライが水中羽化で水中から飛び立つ時にはスプラッシュライズが通常です。これらはかなり大きめで派手なライズになります。それは虫の動きによって誘発されるからです。水棲昆虫が大型であったり飛び立とうと羽ばく様のライズはガバと音を立て吸い込むように食い方になります。そのような時にライズの激しさに惑わされて思わず強く、早く合わせるのは禁物です。本来フライがドラッグフリーで流れ、且つ虫に合っていれば魚はいたってゆっくりと安心して食うはずです。フライの出方が小さく、水しぶきを上げるような時はフライが虫に合っていないか、すれた魚であることが多いのです。すれた魚は食いつく時にどうも逃げる事を考えているようです。そしてその際に水しぶきを上げるようです。また、スケーティングカディスの演出のためドラッグを掛けての釣りでは魚の出方が大きく思わず早く合わしてしまいますが一呼吸おいてから合わせると良いです。カディスやスト-ンフライの仲間でも幼虫や蛹が岩や水草によじ登って羽化する虫や水面まで浮いてきて脱皮する虫もいます。これらの虫は羽化に失敗したり風に流されたりして水面に落ちた時に食われます。飛び立つ時にもがく様を食おうとする魚のライズは通常のライズより激しいライズになります。ダン(亜成虫)が水面に高く浮いて流れてくるよりも産卵が終わりスペント状態で水面にピッタリ張り付いて流れてくる虫のライズは魚が口だけを出し小さめです。

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無数のマイクロ・カディスとカディスで釣れた20インチオーバー 又マダラカゲロウの仲間のように水面までニンフの状態で浮いてきて脱皮するカゲロウやモンカゲロウ、フタオカゲロウの仲間のように水草や岸辺までよじ登って脱皮する虫たちもいます。一番ハッチの釣りの対象適してる虫はマダラ・カゲロウの仲間のように水面で羽化する虫たちです。それは水面に漂うっている時間が長く捕食しやすからだと思われます。その他はハッチの釣りの対象にならないわけではありませんがマダラカゲロウの仲間と比べると釣り方は難しいです。それでも大量に羽化したダンが風や雨に打たれて水面を流れるような時には最大のチャンスです。それらを除くとハッチの時点で水面に漂う時間が少ない種はスピナーの釣りが主になりす。 ドライフライフィッシングではハッチだけが魅力な釣りではありません、またハッチが無くてもライズはあります。水面にはさまざまな昆虫が流れてきます。産卵や産卵間近な水棲昆虫は魚にとって魅力的な捕食物であることは確かです。それは一度に大量に捕食するチャンスなのです。産卵時のメイフライのスピナーやスペント、カディスがその対象になります。これらのライズは派ではありませんがライズが頻繁に続くことが多いのです。イブニング・ライズではハッチのライズにくらべて小さく目立たないですが、良く見るとハッチと同様以上に産卵の虫たちのライズがあることに気付きます。 ライズはそれだけではありません、カディスの成虫やスピナーが産卵の為にバンクの茂みやや小枝の葉裏で日光を避け産卵を待っています。鱒たちはそれらが落ちるのを待っています。そのような場所や状況ではフライパターンを状況に応じて意識して使用すると良い結果が出ます。
実際に前日ハッチした水棲昆虫のオナシカワゲラやカディスを日中に使用する時にあてはまります。バンクの茂みを軽く揺すって見ると虫が飛び立つ様や水面に落ちるのを確認する事もできます。又、初夏のバンクではテレストリアルのアントやグラスホッパーなども同様に良い対象フライになります。

変わった虫のハッチとライズ
 
ストーンフライで水面ハッチのシミズミドリカワゲラ(#18~22)のライズは小さいのですが魚の動きは激しいく、そのせいかライズが良く目立ちます。一見、空中のアダルトが目立つのでそれが流れて食っているように見えますが、水面をもがくフローティングニンフを食っていると云われています。魚の動きが激しいのはそのせいかもしれません。しかし本当流れている小さいく、動くフローティング・ニンフを食っているか自分の目で確かめる事が出来ていません。以前忍野でシミズミドリカワゲラのハッチ時に狂ったように広範囲に動き合わってライズしている様を見た事があります。その時は落ちた瞬間に釣った1.2匹だけでフラストレーションが溜まっただけでした。その後何匹か釣った事がありますがその時はアダルトをイメージした黄緑色した小さなフライでした。 同じ仲間で#16位のミドリカワゲラが5月の後半から6月にかけて渓流の流心から飛び出す様なハッチに出会うことが度々あります。これらは一括してイエローサリーと云われています。私の経験ではシミズミドリカワゲラと異なり、イミテーションフライ(黄色)が有れば比較的簡単にフライに反応し釣りやすいハッチでした。

小さい虫のハッチとライズ
 コカゲローやクシゲマダラ(#18~20)のような小型のメイフライではダンのライズでも空中を飛んでいる虫を追いかけるとき意外にはけして大きなライズは存在しません。さらにイマージャーやスピナーであったりしたら見逃してしまいそうな極小さな波紋が出るだけです。しかしこの釣りはフライがマッチすると意図も簡単にもぐら叩きのように釣れる事があります。毎週のように釣行している釣人でもそのような状況には年に1度か2度の遭遇が現実です。その為に多くの釣り人が山ほど多種類のフライを巻くのです。
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大型の虫のハッチとライズ

 ヒゲナガや大型のカディスのライズはズボと大きな音を立て派手なライズです。対象魚が小型の時にはフッキングが難しいですが30cmを超える魚ではゆっくり合わす事によりフッキングのパーセンテージが上がります。ヒゲナガでは通常、虫のサイズから相当して#8位のフライを使用しますが#12の2XLで作りますとフッキングが容易です。20cmクラスの小型の鱒もフッキングしてしまう欠点も有りますがヤマメ釣りなどには良いと思います。ヒゲナガのライズは産卵によるものが大半ですがその他のカディスやストーンフライも度々ハッチのライズに遭遇します。どちらも比較的釣りやすいライズです。

テレストリアルのライズ
 陸棲昆虫も魚にとっては大事な食用です。また渓流では思ったより大量に流れてくる物です。夏場の日中のライズではストマックポンプを入れてみますと多くのビートルやスパイダーが胃袋の中に入っていることが多いのです。頻繁なライズは水棲昆虫だと限定しないことです。それらを判断するにはストーキングやアプローチの際に注意深く木葉の裏や足元の草を観察するのが良いでしょう。アントやビートル、スパイダー、グラスホッパー等の多くのテレストリアルを見つける事ができます。夏場に水棲昆虫パターンのフライを流しても帰ってしまった魚にはけして何度も同じフライを見せてはいけません。あきらかにフライを食いに来ているのにフライが合っていないから帰るのです。何度もフライを流すと全てのフライに反応しなくなります。これらは多くの場合フライをテレストリアルフライに変えるだけで簡単に対処できますので注意してくだい。

流下物の流れる量と種類によるライズにおけるフライ選択
 
20年ほど前にアメリカのHリバーでの事でした。数人の釣友と早朝にライズを待ちました。時間で徐々にライズが始まり、何匹かの大型の鱒がそれぞれ皆の前でライズの連発です。そ時、私の前での流下物はおおむねPMD60%、カディス30%、キャリベイテス10%でした。一番、目に入るPMDを付けて流したがなかなか釣れません、気がつけばPMDが仕切りなしで流れているのに何故かライズの間隔が空いているのです。水面近くに浮いたまま鱒が虫を選んで食っているのです。足元を流れる虫をじっと観察してみますと大量に流れている虫たちの中からライズの間隔と虫の流量が一致したのがキャリベイテスでした。フライを変え1.5mのナチュラルドリフト。何回目かにやっと食わせることが出来ました。2匹目はひたすらキャストしてもなかなか食ってくれません。フライかティペットを見られているのです。早くしないとライズが終わってしまう、こうなったら奥の手だ、フィリングレーンで待っている魚の捕食範囲の端スレスレへ流したら活きよい良く追ってきた鱒は活き良い余って私のフライに食いつきました。良くやる姑息なテクニックですが結構使えます。前回のフィッシング講座で書いたようにナチュラルドリフトは長ければ長いほど良いのはキャスティング技術向上だけで実践的では無いようです。キャスティングの下手な奴の言い訳のようですがぼうずにならない為には必要なテクニックだと思います。

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次の日に移動した他の川で手ごわい魚(やつ)にやられました。サルファーのハッチが始まりライズが頻繁にあり魚も釣人もボイルして興奮の渦の中です。思うように釣れません、なぜか1人の釣友がコンパラダンでスムースに2匹の魚をフッキングしたのを見ました。彼からオリーブのコンパラダンが良いと薦められましたが納得いきません。フライをとかえひかえ流しますが思うように食いません。釣れる魚は落ちた瞬間に食った魚であり、偶然性が強い魚ばかりです。その内にタイムオーバーになりエンドです。魚は釣れても胸に何か物がつかえたような気持ちでした。実はこの日は同行者が体調を崩しガイド無しで釣りをしていました。次の日ガイドに話をしたらガイドが云うにはなぜだか判らないけどサルファーにはオリーブのパラシュートが良く釣れると云うのです。2日目の同川で改めて納得しました。確かにハッチのピークになると釣れなくなります。そしてガイドの出したオリーブの#20のパラシュートで簡単に釣れます。サルファーなのになぜ?結果は日本に帰ってから冷静に考えれば簡単に出ました。前日釣友が釣ったコンパラダンとオリーブのパラシュートは魚にとって同様だったのです。コンパラダンもパラシュートも魚はフローティングニンフとして食っていたと思われるのです。サルファーは水中羽化だからダンで釣る事しか頭に無かった自分の経験不足でした。前年にモンタナで釣行した体調崩した釣友からも小さいオリーブのパラシュートが釣れると云う情報をもらっていて、フライも巻いて行ったのに?・・・・残念!しかし今でも水中羽化のサルファーが何故フローティングニンフで釣れるのか理由は解かりません? おそらく水中羽化のサルファーでも大量ハッチでは水中で羽化に失敗したニンフやイマージャーが大量に流れているのではないかと予測されます。即ちヒラタカゲロウやフタバコカゲロウが大量にハッチした時には今までダンよりもウエットの方がつれると云われそのような結果が出ていましたが今後の課題としてフローティングニンフも在りかと思われます。

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ライズの場所による判断

流心のライズ
 
通常、流心ではおそらく誰もが流下物を目視で確認する事ができます。しかし実際に食っている虫を本当に確認しているのでしょうか、どうしても目立つ虫(ダン)に視線がとらわれイマージャーやニンフを見逃してはいないでしょか。案外1匹釣ってみて、ストマックポンプを入れてみたらニンフやイマージャーだけでダンなど1匹も入っていなかった経験している釣人が多いように思われます。目視ではなくネットで採集するとわかる事ですが、ハッチのピーク時には夢中になってしまい良くあることです。
イマージャーやフローティングニンフを捕食することは魚にとって少しでも水中に近い為、安全で効率がよいのだと思われます。またハッチのピークが過ぎ流下物が少なくなってくるとドライフライに反応し釣りやすくなります。ハッチのピーク時にはあえて流心をさけ流れから少し外れた場所のライズがフライに反応がよい事さえあります。また云うまでもないのですがフライをフローティングニンフやイマージャーに変えて流してみるのも良いです。

バンクのライズ
 バンクでのライズを見つけたらしめた物です。フライさえ合っていれば必ずフライに食いつきます。その日の天候を考えどんな虫が流れているか判断しなければなりません。それらは風、気温、空もよう、当日だけではなく、2・3日前の天候も考慮してフライの選択をしなければなりません。前に記載したようにフィルドで釣りあがって行く過程で小枝や草むらから飛び立つ捕食物を観察してあればなおベストです。判断が難しいようでしたら、水中の石をひっくり返して水棲昆虫の状態を見るのも良いでしょう。充分熟成した幼虫や蛹の抜け殻は参考になります。そしてフライを選ぶのです。
さてキャスティングです。一発で食いにくる魚ですので一発で釣りましょう。それにはラインの長さを測らなくてはなりません。魚に気づかれない方向にラインを出し投げてみましょう。自分がこれから狙うポイントと同等のラインの長さを確認出来るはずです。そしてラインを引き寄せできるだけフォルスキャストを少なく魚の前にフライを落とします。ミスらなければ結果は簡単に出るはずです。一発で食いそうな魚ほど慎重に釣るのがこつです。この一連の動作をする前には立つ位置を決め、注意深くストーキングをして、風向きを考えてキャストに入ることが重要なのです。
巻き返しのライズ 渓流の巻き返しではいかにフライを静止しておけるかが基本です。それにはロングティペット、ロングリーダーも良いほうです。しかしブッシュの陰や木の枝の奥でのライズではロングティペット、ロングリーダーではタイトなループでピンスポットに的確にフライを落とす事はできません。通常のリダー8フィートで充分です。できれば20cm以内の円にフライを落としたいのです。そしてその場に5秒間フライを留めて置きたいです。それだけで魚は出てくるものです。5秒間止めて置くには取分け特別なテクニックはいりません。ストレートラインで的確にピンスポットへキャストできるだけで充分です。あとは5秒間ドラックの掛からない場所から投げるだけです。立つ位置は経験で習得する以外にありません。場合によってはラインを石の上に乗せることも必要です。 すべて自分の経験から感じた事ですので他の考え方の方も多数あるかと思いますが、皆様に沢山のヤマメや岩魚が釣れる事を願って初心者のフライフィッシングNO4を終了いたします。 何分にもブログへの走り書きで校正をしていませんので誤字脱落が多数ありますがお許しください。

資料は全て私の実経験より導かれた物です。異なった意見も在ろうかと思いますが釣果に良い結果が出ることを願ってあえて断定的な語尾になっている場所があります。

また、どのような事にも例外がありますのでそれについては皆様の感性によって解決できると確信しています。

寛大な読者に感謝いたします。NO5でまたお合いましょう。

 


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